「円形脱毛症の原因はストレス」だと思われがちですが、実際はそうではありません。
円形脱毛症の原因は特定することが難しく、病院で診断してもらってもこれが原因だとは言い切れません。
このページでは、中でも有力とされている円形脱毛症の原因や、治療方法や、完治までにかかる期間、早期発見方法について詳しく説明しています。
円形脱毛症とは
![]() 単発型 |
![]() 多発型 |
円形脱毛症とは名前の通り、部分的に円形に髪の毛が抜ける疾患のことを指します。
大きさ
大きさはだいたい10円玉くらいが目安ですが、もっと大きな円形になって抜けることもあります。
年齢
発症する年齢は、こどもから老人まで関係ありません。
性別
原因や大きさに関係なく、男女ほぼ同じ比率で発症しています。
場所
円形脱毛症と言えば頭部のみと考えている方が多いと思いますが、円形脱毛症は全身に発症する可能性があります。頭部の中でも頭頂部、側頭部、襟足、うなじなど特に決まりはなく、眉毛、髭などの体毛などにも発症する可能性があり、頭部のみではありません。
数
最も多いのは一度にひとつだけ円形脱毛症が発症する単発型です。しかし、一度につき1つとは限らず、円形脱毛斑が2つ以上発症する多発型といタイプも存在します。複数の脱毛斑が重なってひとつになることを多発融合型と呼びます。
後頭部から側頭部の生え際一体が脱毛斑となる蛇行型や、頭部全体が脱毛してします全頭型、全身の毛が抜ける汎発型も存在します。
円形脱毛症は、薄毛と呼ばれる主に老化が原因で前髪が後退してきたり頭頂部の髪の毛が薄くなってきたりするの男性型脱毛症(AGA)とは全く違います。
円形脱毛症の原因
円形脱毛症の原因はひとつではありません。
しかも、円形脱毛症は原因を特定することが不可能なのであくまで推測することしかできません。
円形脱毛症の原因と考えられる説を紹介します。
自己免疫疾患
円形脱毛症の原因の中でも一番有力な原因とされているのが、自己免疫疾患です。
体内に入ってきた異物を排除して体内を正常に保とうとする機能を免疫と言います。
自己免疫疾患とは、この免疫機能になんらかの変化があり正常に機能しなくなり、髪の毛を異物と認識してしまい攻撃をして脱毛させてしまいます。
精神的ストレス
多くの人は円形脱毛症の原因はストレスだと考えていると思います。
ストレスは万病の元と呼ばれている名の通り、いろいろな病気を引き起こす可能性を持っています。直接的な原因というよりは、間接的に病気を発症させるきっかけを作っています。
先ほど紹介した自己免疫疾患に関しても、ストレスが原因で免疫機能に異常をもたらして引き起こしている可能性もあります。
ストレスが直接的な原因という考え方でいくと、ストレス抱えることで自律神経が乱れて頭皮への血液循環が悪くなり栄養不足で脱毛が起きる可能性も考えられます。
アトピー素因
円形脱毛症患者の約40%はアトピー素因を持っていると言われています。
アトピーとはアトピー性皮膚炎のことだと考える人が多いと思いますが、気管支喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎もアトピー素因となります。本人もしくは家族がこの4つのうちいづれかもしくは複数を持っている場合アトピー素因というアレルギー体質になります。
遺伝
円形脱毛症患者の約8%が家族に円形脱毛症の人がいるというデータがあることから遺伝は円形脱毛症の原因と考えられています。遺伝が原因であるというメカニズムが発見されたわけではありません。
また、家族内の同じ円形脱毛症患者との距離が近い程確率は高くなるとの統計も出ています。
その他の原因
その他の原因としては、ホルモン分泌の変化による脱毛などがあげられます。特に女性は出産後の女性ホルモン値の変化が大きくなり、発毛を促す女性ホルモン分泌が減少することで抜け毛が多くなります。その中のひとつとして円形脱毛症を発症するケースもあります。
円形脱毛症の治療法
円形脱毛症の治療法を紹介します。原因が特定できれば、その原因に合わせた治療法を行うことができますが現状は原因を特定することは難しいです。
局所免疫療法
患部に化学試薬であるスクアレン酸ジブチルエステル(SADBE)もしくはジフェニルシクロプロペノン(DPCP)を使って、人工的にかぶれを起こさせることにより発毛を促す治療方法です。
自己免疫疾患によって異物と間違って攻撃されている髪の毛の対象をかぶれという炎症に変えさせることで発毛させるという方法です。
ステロイド注射
ステロイドを患部に注射として打つことで、自己免疫疾患として髪の毛への攻撃を抑えます。
ステロイド注射の注意点としては、広範囲に患部が広がっている場合や注射による強い痛みに耐えることができない患者さんには不向きな治療方法です。
ステロイド治療法は内服薬と外用薬を使うクリニックもあります。
ミノキシジル外用
血管を広げる作用があり、発毛効果が認められている薬のミノキシジルを塗る治療法です。
男性型脱毛症(AGA)を改善する薬としては有名ですが、円形脱毛症の改善への効果は高いと言われているわけではありませんが多くの診療実績があります。
男性型脱毛症(AGA)が原因だと特定できた場合は、ミノキシジルでの治療での発毛率はかなり高いです。
放置して自然治癒
円形脱毛症は必ずしも病院で治療をしないといけないわけではなく、時間が経てば自然に治ることは多いです。
しかし、治るスピードは病院で治療をした方が早いですし、必ずしも自然放置で治るとは限りませんので皮膚科を受診することをオススメします。
どれくらいの期間で治る?
治療方法によって回復期間は異なりますが、目安として早い人では約半年で改善が見られ、時間が掛かる人は10年以上通院している人もいます。
原因が特定できていれば治療法に基づいて期間も予測することができるのですが、おおよその目安としては、単発型の約80%が1年以内に自然治癒で完治しています。
多発型の場合は、病院で治療をして半年から2程で治ると言われており、蛇行型、全頭型、汎発型の場合は複数年かかるとされているので必ず皮膚科の受診が必要です。
円形脱毛症の早期発見方法
円形脱毛症は髪の毛が抜けきった状態になるまでに早期に気づく人が少なく、気づいた時には円形脱毛症が完成されてしまっている人が多いです。原因が特定できないこともその理由のひとつです。
途中で気づいたからと言って、そこで止めることができるわけではないのですが早期発見し、早めに対応していくに越したことはありません。
円形脱毛症に気付いたきっかけ
円形脱毛症は場所や大きさによってはなかなか気づかないことも多いです。
円形脱毛症に気付いたきっかけとして多いきっかけは以下です。
- 抜け毛が増えていると感じた
- 鏡を見ている時に自分で発見した
- 頭を触っている時に異変に気付いた
- 友人や家族が発見して教えてくれた
円形脱毛症は、体感として異変を感じることがないので知らない間に発症していることが多いです。鈍感な人や髪の毛が長く常に隠れた状態であったり円形脱毛症の大きさによっては自分では気づかないまま発症してそのまま気づかずに完治していることもあります。
初期症状から早期発見
抜け毛以外に円形脱毛症の発症前に自覚症状が起こることは特に確認されていません。
ただ、円形脱毛症の25%が爪にでこぼこやぶつぶつ、横溝ができるなどの症状を併発しています。爪に異常を感じたら円形脱毛症を疑ってみてください。
その他、集中して薄毛が目立つ箇所付近の髪の毛を引っ張ってみて痛みがなく簡単に抜くことができれば円形脱毛症が始まっています。
円形脱毛症の原因まとめ
円形脱毛症の原因についてまとめると、円形脱毛症の原因は特定されていないが以下が有力な原因とされています。
- 自己免疫疾患(一番有力な原因)
- 精神的ストレス
- アトピー素因
- 遺伝
- ホルモン分泌の異常
これらの原因を事前に防ごうとすることはできますが、なかなか阻止することは難しいです。
そうなればなった後の対処方法が大切になりますので、気になれば皮膚科に行きましょう。